西川真音 『零と羊飼い』 (一迅社文庫)

零と羊飼い (一迅社文庫)

零と羊飼い (一迅社文庫)

地球に直径 100 キロメートルの隕石が迫りつつあった.これを防ぐには「レス系」と呼ばれる異能力者を宇宙に送り出し,その力を利用するしかない.ただし,生きて帰れる確率はゼロ.世界から集められた三組の「番」のうち,最低でも一組が犠牲にならなければ地球は滅びることになる.デジタルノベル『羊の方舟』を基にしたオリジナルストーリー.……という前提は見えるところに書いといてくれよ.
終末を前に自分/誰かのために生きる/死ぬ意味を獲得する過程を閉塞した状況で描いたお話.道具立てが特殊なだけで内容は直球かつ陳腐な青春小説,かな.特殊な環境で芽生える「愛」,生きる意味を問い殉教者を選別するために行われるゲーム.陳腐極まりない.理よりも情と雰囲気が先に立つ話運びはひとを選ぶかもしれない.終盤の展開はただ単によく分からなかった.若さの持つ可能性を捻くれた手法で描いたものと解釈したんだけど,流石にやっぱり陳腐すぎるかな.ここは『羊の方舟』を読んでないと分からない部分なのかもしれない.そして私は読んでない.ってことで注文しちまったじゃねぇかこん畜生.ひとにはすすめないけど雰囲気は嫌いじゃないよ,ってことで.