野尻抱介 『沈黙のフライバイ』 (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

現在から超近未来までを舞台にした宇宙開発ハード SF 掌編集.「沈黙」を持って迎えられたファーストコンタクトものの表題作をはじめ,粛々としながらもイメージを強くくすぐられる文体で静かな情熱と好奇心がひしひし伝わってくるよう.なんか解説そのまんまの感想ですみません.「轍の先にあるもの」が個人的ベストだった.小惑星エロスに着陸した探査機から送られてきた地表の画像,そこに刻まれていた小さな轍の真実を想う SF 作家の情熱.自分の欲求だけで動いているようでいながらもフロンティア精神を体現している主人公の姿は古い宇宙探検 SF を読んでいるようで,なにやら胸が熱くなる.

(前略)始源の姿をたたえた小惑星を、ありのままに描くだけではいけないのか。生命のいない宇宙の大部分を、語らなくていいのか。

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA) - はてなキーワード

カッコいいなあ.つうか表題作を読んでの野田司令の感想がこれまたカッコええ.