- 作者: 黒乃翔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第 3 回流水大賞優秀賞受賞作.オタク男子と不思議美少女のボーイ・ミーツ・ガール.このテーマも今となっては新鮮みが薄いかなあ.何かあるごとに「妄想」へ逃げようとする雄二の姿は『CHAOS;HEAD』の拓巳によく似ているのだけど,こちらの妄想はより現実に強く根ざしたもの.一時的な逃避先である妄想と現実の線引きは厳密なようでいて,「平凡」とはほど遠いことが物語上の都合で普通に起こってしまう.妄想の立脚点が違うので一概に言っちゃうのは乱暴なのだけど,比較すると少し脇が甘く見えてしまうのは仕方ないのかなあと.妄想の大半はこれといって目新しい部分のない平凡なもので,読み飛ばしても話が通じるのも難といえば難(雄二の平凡さを際立たせる目的だったのかもしれないが).「平凡」に絶望する雄二には共感できる部分も多かったのだけど粗も多かった.