梓 『Switch』 （講談社BOX）

Switch (講談社BOX)

中学三年生の五十嵐豪と大和崇は幼稚園からの友人同士．二人は出会った頃から小さな『悪戯』を繰り返し遊んでいた．今日は昼休みの旧校舎に潜り込んだ豪が非常ベルを押す，それだけの悪戯のはずだった．悪戯の翌日，豪が学校に行ってみると崇の姿はなく，クラス全員の頭にはスイッチがついていた．
第二回流水大賞優秀賞受賞作．1992 年生まれの作者が中学三年生の三学期に書いた作品とのこと．ひとことで言うとワンアイデアを膨らませた不条理ホラー，かなあ．読後感は『世にも奇妙な物語』を一話見たあとのような．ラストの不条理にはちょっとぞっとさせられた．つっても意地悪な言い方するなら投げっぱなしなラストに加えて，「大人」の描き方や単純な表現など「？」な点も多い．誰にでも薦められるもんでもないけど，私は悪くなかったと思う．もう少し安かったらもっとうれしかった．