- 作者: 小木君人,植田亮
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/06/18
- メディア: 文庫
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第 3 回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作.良かった.筒井康隆の『秒読み』*1の仕掛けを現代的かつ等身大に解釈したような話.「人生をやり直す」,「死を回避するゲーム」とは言いながらも,その解法はシステマティックとはほど遠い.もたつきながら不器用にぐずぐずと,嫌われたくない傷つきたくないとエゴ丸出しでもたもたと前進する.仕掛けは変則的ながら,飾り気のないうざさは非常に"らしい"と感じた.うざい奴らばかりの中,サポート役のマキエルが裏表のないいいヤツで物語の清涼剤として効いていたのも上手かったと思う.不満があるとすれば,巻き戻ったのが七年なのに,描かれるのが実質二年程度なことかな.まだまだ描けそうな余地があっただけにもったいなかったなー.ってかもっと読みたかった.
とまれ,また期待できそうな新人さんが現れたってことで,期待しながら見ていきたいと思いました.蛇足ですが自分は弥宵お姉ちゃん派であります.
*1:世界規模の核戦争が始まろうというその瞬間に,責任者の軍人の時間が子どもの頃へ巻き戻る.彼は未来に起こる戦争をなんとか阻止しようと考え行動する.後半からラストへ向けてが素晴らしすぎる傑作短編.これが気に入ったなら読んで損はない