九重一木 『ガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE』 (スニーカー文庫)

この世界は眠り続ける神の見ている夢である.夢の中に配置された十八体の"端末"に与えられた役割は,神を退屈させないように割り振られたロールを演じること."普通の人間"(エキストラ)だった翔はクラスメイトの真白に屋上に呼び出されたことからなにやら事態に巻き込まれていく.
第 13 回スニーカー大賞優秀賞受賞のデビュー作.双子の姉妹と十八体の"端末"の繰り広げる学園異能バトル.世界設定は大仰なんだけど視野はよく言えば等身大,しかし正直狭苦しい感じがする.他人から与えられた役割より己のやりたいことをやれ,という大筋は珍しいものでもなく,それでいて読んでてたびたびいらっとしてしまうのは,作中で使用している括弧の種類や引用符の数の多さによるものかもしれない.固有名詞を意味する記号だけで二重山括弧,山括弧,二重カギ括弧,ダブル引用符を使っているのを確認した.何らかの意図できちっと使い分けているのかが不安になって話に集中できないという.あははは.