ウノサワスバル 『さよなら彦』 (講談社BOX)

さよなら彦 (講談社BOX)

さよなら彦 (講談社BOX)

こんな、完璧な存在。まるで、肉体が精神を支配しきっているかのような、まるで、精神が肉体を支配しきっているかのような、自己を完膚なきまでに支配しているもの──
完璧で完全で完成されているという矛盾を孕んだ存在。
わけもわからず呻く。呻いて、不意に想いが巡った。そんな完全なものが今死ぬのだ、と。

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彦と巫は中学生の双子の兄妹.周囲の人間関係から「棘を抜く」ような,平穏を保つような生き方をしていたふたりっきりの兄妹は,「アートマン」という異能を持った者たちとの出会いから大きな変化を迎えることになる.
「最後の流水大賞」こと講談社BOX新人賞・第 7 回流水大賞大賞受賞作.とある中学生の思春期の終わり,みたいなことをやっている小説だと思うのだけど,正直よく分からなかった.テキストがあまりに迂遠過ぎて,同じ箇所を何度読み返しても内容が頭に入ってこない,というタイプの.文章の装飾をすっきりさせればまだなんとか……,とも考えたけど,それこそがウリの小説の気もするので本末転倒かなぁ.これはもうテッテ的に肌に合わなかったとしか.