川岸欧魚 『ながれで侵攻!! 邪神大沼3』 （ガガガ文庫）

ながれで侵攻!! 邪神大沼 3 (ガガガ文庫)

「……なにを盗られたのかな？」
「初代校長の首です」
「え？　なんで？」
「知りません。『かっこいい首っスね。ちょっと神隠させてもらいますわ』って言って持っていっちゃいました」

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高校生の邪神大沼もそろそろ進路を決定する時期．進路相談に臨んだ大沼は，大学への推薦を取り付けるため，とばっちりで壊された初代校長の像を修復しなければならなくなった．そんな折，使い魔として召喚した天狗の娘・かえでを連れ返しに来た天狗の里の使いにより，像の首が神隠しにあってしまう．かえでと校長の首を取り返すべく，大沼たちは東京の秘境・T 尾山へ向かう．「マッハ！　トニージャー」．
邪神コメディ第三弾．今回も楽しかったわぁ．くだらないことに全力投球する作者の姿勢が文句なしに素晴らしい．「新ジャンルの競技『アネコージ』」（姉小路考案のひたすら姉小路をちやほやするだけの競技・通称 ANK）しかり，鼻さわり（人の鼻をさわる能力）しかり，すげーくだらないんだけど，まったく手を抜いていない．しかもそれが一発ギャグにとどまらず，キーアイテムとしてストーリーを動かす仕掛けにもなっているという．小ネタだと思っていた二巻のギャグがまさかこんなところで生きるとは思ってなかったよ．天丼ギャグも冴えているし，よくあるコメディでありながら，隙らしいものは（今のところ）ほとんどない．率直に言ってムチャクチャ上手いんじゃないかしら．大満足で読ませていただきました．