吉野憂 『最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室(レッスン)』 (ガガガ文庫)

――何そんな熱くなっちゃってるの(笑)

日本有数の高校、私立鷺ノ宮学園にスカウトされた平凡な高校生、佐藤零はその入学初日、金髪の美少女から出会い頭にキスをされる。それが、マウンティングがすべてを司る学園生活の始まりだった。

マウンティング。それは、古代メソポタミアより伝わる神から齎された格付け方法。マウンティングは戦いの道具じゃねえ! 俺と優劣比較決闘戦(マウンティングバトル)で勝負だ! 『バカとテストと召喚獣』を思い出す、第16回小学館ライトノベル大賞優秀賞。クラス分けが学力や成績ではなく、相手の心を折っての精神的優位というのが実に現代的というかなんというか。ここ数年の身近なインターネットの汚いところを真っ当に煮詰めたような小説である。

精神的優劣を数値化するのはともかく、アバター化してバトルさせる意味はよくわからなかったし、ラストも安直だしと引っかかるところは多かった。ただ、汚い設定とは裏腹に、テキストはしっかりしているしメインのキャラクターは好感を持てるし、良いところも多いんだよね。長所と短所が非常にはっきりしているデビュー作だと思いました。