新城カズマ 『マルジナリアの妙薬』 （ハヤカワ新書juice）

マルジナリアの妙薬

（30.　で、でも……　）
（31.　ん？　）
（32.　さしあたって、何をすればいいんですか？　）
（33.　決まってるじゃないか。今度は君が〈物語〉を創るんだ。素敵な、面白い、長い、短い、どんなのでもいい、下手でもかまわない、たくさんの、たくさんの〈物語〉を生み出して広めるんだ！　）

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言葉とはなんぞや，物語とは．言葉と現実，物語と現実の関係とは．様々な方向からアプローチを試みる 12 篇のショート・ショート連作．まんたんブロードでの一年にわたる連載をまとめた単行本．連載が進むに連れ，視点は物語内世界から現実世界へ，さらにはメタな視点へとじわじわシフトし，議論の中心も絞られてはっきりしていく．テキストは多くないのでさらりと読めるのだけど，再読に耐えるショート・ショート集というか．ラストまで通読してから再読すると，込められた意味がよりはっきりと見える感覚があった．ページ数からすると値段が高いのが唯一にして最大の欠点，ですかね……．