佐藤憲胤 『ソードリッカー』 (講談社)

ソードリッカー

ソードリッカー

日本刀の形象を深く求めながら、しかし自分に必要なのは真剣ではないことを私は直感していた。いずれそれを手に入れるのも悪くない。しかし、もし真剣を所有すれば、ついでに私は希望も手に入れてしまうだろう。誰かを現実に切ってやれると考えながら暮らすのはどれだけ楽しいことか? それは安らぎにさえ似ているかもしれないのだ。

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刀の形象をめぐるある作家の思索「ソードリッカー」,北里と 6 核の視点が交差する「ライトワーム」の中篇二作品を収録した,群像新人文学賞優秀賞受賞作家の第二作品集.ストーリー的なつながりはないのだけど,実在しない傷,がテーマに共通してあるのかな.イメージやビジュアルはそれこそ奔流のように描かれるのだけど,ストーリーを追うのは骨が折れた,というか疲れた.特に「ライトワーム」の方はいつものペースで一読しただけでは意味が拾いきれなかった気がする.