- 作者: 田中哲弥
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もう会えないのかと思うと自分でも驚くほど寂しくて悲しくなったが、山下老人のことを思い出すたび俊司の胸の内によみがえるのは夜なのに青空みたいという友梨子の笑顔と白い吐息なのだった。
夜なのに
全八篇の短篇集.大雑把なくくりで言うと「奇想」作品集になるかな.と言っても,パンドラ,異形コレクション,「STRANGE FICTION」,「NOVA1」など初出が多岐に渡っているため,読み応えもそれぞれ多彩.単に悪趣味なだけな短篇もあるけど,全体的には『猿駅/初恋』をとっつきやすくした感じか.『猿駅/初恋』が好きなら読んでみるといいし,これが気に入ったなら『猿駅/初恋』も読んでみるといいさ.特に良かったのは「夜なのに」,「従姉の森」の二篇.時間と主観が入り混じる幻想的風景で前者はほっこり切ない夢を,後者は悲しく苦しい悪夢を描く.ユーモア SF 「坂の中の坂」も楽しかった.