竹岡葉月 『マイフェアSISTER 姫君、拳を握りすぎです。』 (ファミ通文庫)

「すばらしいことデスヨ。望みがあり、この地には助けてくれる隣人がいル。ワレワレの財産はそれだけデス。でも、そのことをなにより喜ぶべきでショウ?」
沈みかけた想いは、たしかな微笑に変わった。
本当にその通りだ、とアネモネは思った。

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江戸川師走は仙台で暮らす高校生.妹は売出し中の女優・MUTUKI こと江戸川睦月で,現在はロケのために渡米中.従姉からのバイトの誘いにつられてホイホイ上京した師走は,異世界のお姫様・アネモネの接待役を仰せつかる.
異世界からやってきたもうひとりの「妹」との交流.異世界の存在が周知のものになった世界,というのは珍しくないのだけど,街の描き方や,キャラクターの描き方が丁寧で愛があると思うのよな.誰でも受け入れる街・赤羽チャンプルーのゴチャッとした感じ然り,睦月とアネモネという「妹」たち然り,元子役の師走の現在然り.きゆづきさとこのイラストもすごくいい効果をあげていて良かった.長いこと積んでいたのだけど,これは続きが読みたくなった.