みみとミミ 『魔王な使い魔と魔法少女な』 (スーパーダッシュ文庫)

魔王な使い魔と魔法少女な (集英社スーパーダッシュ文庫)

魔王な使い魔と魔法少女な (集英社スーパーダッシュ文庫)

「ううん、君にとって、の話」
「僕にとって……?」
「瑞希……さんは、正義の味方って嫌い?」
正義。
正義ときたか。
よりによって、『正義なんか』がきたか。

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あの子は『正義』なんて知らなかった。
ただただ『優しい』だけのそれは、『正義』とは違う何かだった。
でも、それは僕の知る中で最も理想に近い何かだった。

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千葉市美浜区周辺限定で人助けを行っている魔法少女こと,『彼女』.その正体は男子高校生の朝霧瑞希.ある朝,瑞希は公園で魔王を名乗る少女を拾う.
第 10 回 SD小説新人賞最終候補となった「問題作」.ざっくりと言うと「正義」論,もしくは「正義の味方」論と言える.主人公=語り手でもある魔法少女は,傍から見ればそれこそ正義の味方のような行動を取りながら,自分は正義が大嫌いだという.本心は語られず,周囲の人間の推測で行動理由が序盤語られる.そのせいか,うじうじと悩んでいる感じが良い意味でしない.ネガティブさがないし読みやすいし.かなり荒っぽいのは確かだけど,書きたいことは全部書ききったような情熱はひしひし感じられた.
この物語の場合,正義の行使者が「魔法少女」である必然性は皆無なのだけど,そこはまあそういうものか.主人公の少年が魔法「少女」になることについて,説明や理由付けがまったくなされず,作中でも当人含め誰も疑問を呈さない.でも違和感なく読めるし,余計な説明が入らないぶん,すっきりしている.という事実に,なんというか上手く言えないんだけど「現在」のライトノベルだなー,と感じた.良かったです.続きも今日買ってきたんでそのうちに読みます.