折口哲 『宇宙人と綴じたメモリア』 (講談社BOX)

宇宙人と綴じたメモリア (講談社BOX)

宇宙人と綴じたメモリア (講談社BOX)

「これは?」
「耐毒メガネと、文字の侵食を防ぐ耐毒手袋です」
「……待った、今なんか変な単語が聞こえた気がするんだが」
「変じゃないよ。私が直に綴った文字は、地球人にとっては劇薬みたいなものだからね。直視すれば脳がやられるし、触れれば触れた箇所に文字が侵食して異常を来してしまうのよ」

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ある夏の夜.高校生の朝田晶人は,UFOが裏山に墜落する現場に遭遇し,そこで宇宙人の佐倉美弥子に出会う.自分の記憶が綴られた本と記憶障害を抱えたおっちょこちょいの美弥子に晶人は惹かれてゆく.
第17回BOX-AiR新人賞受賞作.導入でビブリオマニアの宇宙人の話かな,と思ったらだいぶ違ってた.毒を持った文字とか,情報を熱量として消費する惑星とか,SF的な側面もあるけれど,それよりもボーイ・ミーツ・ガールの面のほうがずっと強い.ということは作者本人もTweetしていた覚えがある(ちょっと見つからなかったけど).悪い小説ではないけれど,個人的にはそれほど惹かれる感じでもなかったかな.