松本逸暉 『みツわの』 (講談社BOX)

みツわの (講談社BOX)

みツわの (講談社BOX)

「舞妓っておもしろいで」その人の名前は一葉さんといった。
「どうおもしろいんですか?」
「なんか、歴史を感じる仕事やと思う」
一葉さんはどこか遠くを見るような目で言った。
「それに京都で一番京都人になれる仕事やで」

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着物が好きな東京の中学生,一ノ瀬舞依.修学旅行で出会った舞妓に憧れた舞依は,自身も舞妓になるべく,中学を卒業すると同時に単身京都へ向かう.
第12回BOX-AiR新人賞受賞作.置屋を舞台にした女の子たちの青春.しかし,切り捨てちゃいけない大切なものをぜんぶ切り捨てながら話が進むのがいただけない.舞妓という特殊な業界をわざわざ選んだんだから,いくらでも膨らませようがありそうなものなのに,部活ものの範疇をほとんど出ていない.というか部活ものとしても内容が薄い.アニメ化前提の小説だからこんなものかとも思ったけど,あとがきを読む限りではアニメはオリジナルストーリーとのことらしく.だったら,この小説の存在意義はどこにあるのかと…….