北野勇作 『恐怖』 (角川ホラー文庫)

恐怖 (角川ホラー文庫)

恐怖 (角川ホラー文庫)

「あんな悲鳴をあげるのは、自分たちにはあの世がないってわかっているからだって」
言いながらかおりは、隣の本島に身体を寄せる。
温かかった。心臓の鼓動が聞こえる。
「人間はあんな悲鳴をあげられない。あの世があると思いたがっているから――」

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戦前の満州で撮影された16ミリフィルムに記録されていたのは恐ろしい実験の映像だった.脳への実験を繰り返す母親,悦子と,久しぶりの再開を果たした悦子の娘姉妹は,「世界の外側」に直面する.
同名ホラー映画のノベライズ.生きている脳をいじることで見える,人間には認識できない恐怖の世界.SFチックなアイデアでもあるのだけど,ホラー方面にのみ活かされている印象.序盤は期待させてくれるものの,全体的に見ると平板で固いかなぁ.読んだ感じ,おそらく原作に忠実なノベライズであると思うのだけど,なぜこれを北野勇作にノベライズさせようと考えたのか.