東出祐一郎 『Fate/Apocrypha Vol.4 熾天の杯』 (TYPE-MOON BOOKS)

「それでも。まだ、諦めないで下さい。どうか、どうか……」
人間を見限らないで下さい。
そういうものだ、などと諦めないで下さい。人に醒めることは簡単で、人を憎むことはもっと簡単で、人を愛し続けるのは難しいことだから。

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二人のルーラー,ふたつの陣営が,いよいよ最後の激突を迎えようとしていた.聖杯大戦のクライマックスを告げる第四巻.もともと四巻完結予定が収まりきらなくなったとのこと.“黒”のアサシンのルーツである19世紀の霧の都(ロンドン),ホワイトチャペルというこの世に現出した地獄を前に,人間という存在に疑問を抱くジーク.それでも人間を信じようとするジャンヌ・ダルク.それら人間すべてを救済しようとするシロウ.この土壇場で物語のテーマのひとつを表出させるけれど,物語のなかに生かされているかというと微妙かもしれない.
“赤”の『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』へ乗り込む“黒”の陣営とルーラーのラストはさすがの展開.アクションシーンを書かせれば右に出るひとはそうそういない,と思うんだけど,なんというか,「Fate」という物語に色々なテーマを背負わせすぎて,未消化な部分が多いのではないか,という気がしている.もやもやした気分を吹き飛ばしてくれる完結を見せてくれるといいなあ,と思いながら次をお待ちしてます.