大森望編 『SFマガジン700【国内篇】 創刊700号記念アンソロジー』 (ハヤカワ文庫SF)

不思議な青だった。あんな青を見たのは、後にも先にもあのときだけだ。あれはきっと、時間の色に違いない。膨大な時間が氷に閉ざされると、あんな色を出すのだと思う。

海原の用心棒

盛大に飛び散った血の一部はわたしにも降りかかり、制服のブラウスに深紅の染みと鉄の匂いをつけた。最初につく血はタクミくんのにしたかったけれど、しょうがない。チェーンソーをふるうとはそういうことなのだろう。彼のもとにたどりつくまでに、真っ白なこの制服は血の色で染めあげられているに違いない。

さいたまチェーンソー少女

漫画三本,エッセイ一本,小説九篇を収録したSFマガジン700号記念アンソロジー.十年ぶりの再読だった秋山瑞人「海原の用心棒」はいま読んでも素晴らしい.泣く.こっちは約20年ぶりの再読となった筒井康隆「上下左右」は,小説とは何をやってもいいんだ! と目を開かせてくれた傑作.小説とはなんぞやを知りたいひとはとりあえずこれから読みはじめるといい.収録当時はあんま読む気がしなかったので初読みだった桜坂洋「さいたまチェーンソー少女」はすごく楽しかった.なんか,あの頃のひとつの集大成のような.
他の収録作は手塚治虫「緑の果て」松本零士セクサロイド in THE DINOSAUR ZONE」吾妻ひでお「時間旅行はあなたの健康を損なうおそれがあります」伊藤典夫「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)」平井和正「虎は暗闇より」鈴木いづみ「カラッポがいっぱいの世界」貴志祐介「夜の記憶」神林長平「幽かな効能、機能、効果、検出」野尻抱介素数の呼び声」円城塔「Four Seasons 3.25」.名前の気になる作家がいるなら,『SFマガジン700【海外篇】 創刊700号記念アンソロジー』(感想)とセットで手にとってみるといいさ.