アオヤマミヤコ 『クラゲの食堂』 (講談社BOX)

クラゲの食堂 (講談社BOX)

クラゲの食堂 (講談社BOX)

いずみもきっとそうだった。自分の心が、悲しみを受け入れる準備を始めていることが、何より悲しいのだ。

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双子の弟の自殺とその後の母の言葉に傷つき,家出をした高校生の俺.たどり着いた先の海岸で,ひとりで食堂を経営する青年,嵐に出会う.
双子の弟を自殺で失った家出少年と,双子の兄を奇病(?)でなくした食堂店主の,ひと夏の静かな同居生活.第19回BOX-AiR新人賞受賞作.出会いだったり別れだったり,家族の静かな和解だったりを,静かな海辺の食堂を舞台に描いている.第一話を読みはじめた印象では文章がくどいなあ……,だったのが,読み終わるころには講談社BOXにしとくにはもったいない話だなあ……,に変わっていた.きれいな余韻がいい意味で講談社BOXらしくない.いまの季節に読むのがぴったりの小説なのではないでしょうか.