- 作者: 鈴木大輔,肋兵器
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/11/25
- メディア: 文庫
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始めに記す。これは茶番だ。
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“非人道的実験”の唯一の成功者であり,世界を救う英雄たる運命を背負わされた少女A.図書館のような場所でただひとり過ごしていたAの前に,突如少年Bが現れる.それが神が生まれる前の出来事.それから四十六兆の四十六兆乗の年が流れた.
世界は物語で出来ている.神は物語を紡ぐ.そして世界は何度も作り替えられる,という.真っ白な背景をバックに,登場人物たちがこの「世界」とは何なのかを考察する,という「茶番」は,ちょっとエヴァ最終回を思い出す.たまたま並行して読んでいたのだけど,今年のハヤカワSFコンテスト三作品の,それぞれのテーマやキーワード(情報で出来た世界,宇宙が死を迎えるほどの天文学的時間,白髪で赤い目の少女など)をすべて含んでいるのはびっくりした(一冊の作品とシリーズ六冊目を比較するのはフェアではないだろうけど).SFのひとも騙されたと思って読んでみるといいかもしれない.ここへ至るまでが長いのがちょっと難だけど,この巻のスマートさは追いかけるだけの価値があるのではないかと思う.