ボストン・テラン/田口俊樹訳 『その犬の歩むところ』 (文春文庫)

その犬の歩むところ (文春文庫)

その犬の歩むところ (文春文庫)

犬というのは善意と愛を理解する生きものだ。だから人間にそれを求める。善意も愛も純粋な感情であり、創造の荘厳な産物だからだ。さらに善意と愛は消え果てたいくつもの魂を生き返らせる無限の夢だからだ。

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その犬の名前はギヴ.山奥の檻を食い破り,傷だらけになりながら山道を歩いていた彼は,イラクからの帰還兵,ディーン・ヒコックと出会う.人と静かに寄り添い生きてきた彼は何を見たのか.
ケネディ暗殺,9・11,カトリーナ,数々の戦争.悲劇の中でも,ひとにはいつも犬が寄り添っていた.アメリカという国で様々なひとと出会い生きた,ある犬の物語.描かれる事件は悲しいこと,辛いことばかりだけど,物言わぬ主人公のギヴの強さやしなやかさに強く救われる.裏切られ,傷つけられても強く生きていく.昔飼っていた犬を思い出してじんわりしてしまった.犬が好きなら読んでみるといい.