長谷敏司 『ストライクフォール2』 (ガガガ文庫)

「これからあんたは、あらん限りの罵声を受けるかもしれないね。あんたを待つものは、賞賛よりも、むしろ厳しい運命だろう。そうとも。あんたが拍手を受けることはしばらくないだろうから、あんたの――鷹森雄星のために、あたしがそうしよう。あんたは世界を変えたのさ」

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すべてがうまくいくわけではないことが、楽しくてたまらなかった。困難すらもが、真っ白なキャンパスに絵を描いてゆくような喜びにあふれていたからだ。

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前代未聞のルール違反により,鷹森雄星は渦中の人となった.協議が重ねられた結果,シルバーハンズに入団することになった雄星だったが,チームメイトからの扱いは冷たい.

代理戦争として生まれたスポーツと,戦争の決定的な違いについて.一巻は『タッチ』っぽかったけど,今回はどこかガンダムっぽいかもしれない.代理戦争を書いた作品はなんだかんだと多いけど,そのバックボーンや重要性をこれほどシンプルに説明している作品はそう多くないはず.

例えばサッカーや将棋なんかで味わえるような,リアルタイムで戦術が進化していく場に立ち会うことの面白さや興奮が文面から伝わってくる.新しい技術が,スポーツそのものを進化させ,さらには世界そのものを進化させる.SFのプリミティブな醍醐味が,良い意味でシンプルなエンターテイメントとして描かれている.とても良い.これはひょっとしてすごいシリーズになるのではないか,と思わせられた二巻でした.