枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #05』 (スニーカー文庫)

一枚のメモが、ファイルの隙間からこぼれ落ちた。

フェオドールは気づかない。

資料室の床に音もなく、人知れず横たわったそのメモには、暗号化されていない走り書きで、こう書かれている。

『死なせてくれ』

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セニオリスの対極にあり,「絆を強く結ぶ剣」と呼ばれる遺跡兵装(ダグウエポン)モウルネン.その秘密を探るべく護翼軍司令本部に忍び込んだフェオドールを追ってきたのは,元妖精兵ノフト・カロ・オラシオンだった.

遺跡兵装(ダグウエポン)モウルネンの能力と,「モウルネンの夜」と呼ばれる災厄の謎が中心となり,そして明確な終わりが定かになる.シリーズ五巻.今回はフェオドールの苦悩が特に目立っていたように思う.無力であることを誰よりも自覚し,悩んで迷って,自分だけの道を選ぶ,という.生きることを割り切った黄金妖精(レプラカーン)たちとの対比が今までになく際立っていた.小憎らしくて面倒くさいひねくれ者だと思っていたのだけど,実は近年まれに見る主人公らしい主人公なのかもしれない.グッと来てしまった.重いトーンが続くけど,彼ら彼女らに少しでも幸せな結末があればいいなと思えるようになってきましたよ,っと.