清水苺 『ありえない青と、終わらない春』 (講談社ラノベ文庫)

これは、彼……石崎海にとっては、初めての高校一年生の物語。

そして、彼女……前田きららにとっては、初めてかもしれない、二度目の春の、物語。

4月。高校生の石崎海は前田きららに出会う。かつては選べなかった運命を選ぶため、タイムリープで二度目の高校生になったというきらら。恋を知ることのないまま大人になったというきららのため、海は「恋」とは何なのか、一緒に探そうと提案する。

決められた運命をやり直すため、わたしはこの時間に戻ってきた。枷と柵に縛られた、二度目の青春と初めての恋の物語。古い少女漫画のようなところもあり、苦い……というより、妙に生々しいところもある。社会的・経済的カーストはスクールカーストより強い、みたいな。それゆえに読み口にもいろいろなものが混ざる。個人的にはすっきりと消化できない気持ちが残ったのだけど、刺さるひとには強く刺さりそうな初恋の物語、だと思いました。