伊崎喬助 『董白伝 ~魔王令嬢から始める三国志~3』 (ガガガ文庫)

「『幸せは金で買えないが不幸は金で追い払える』……そんな言葉を聞いたことがあります」

「ふむ。初耳だが含蓄のありそうな言葉だな。誰の言葉だ? 莊子か?」

「ヒッチコックの映画です」

「ひっちこ……?」

長安への遷都を実行した董白。乱世から己の身を守るための次のミッションは、長安の経済を立て直すこと。屯田制と貿易を軌道に乗せるべく、多方面に奮闘する董白ちゃんは、捕えた政治犯の中に荀攸を見つけ、なんとか軍師に引き込めないかと説得を試みる。

飢えと貧困に苦しむ長安の経済のために奮闘したり、献帝や益州、涼州からの使者と腹芸を演じたりと、相変わらず忙しい董白ちゃんであった。董白と並ぶこの巻のもうひとりの主人公が、二巻で登場した趙雲。将軍になることをなんとなく志し、それがあっさり叶うもなんか想像してたのと違う。そんな彼の前に、甘寧という本物の天才が現れ、否応なしに戦うことになる、という。良い意味での王道を征く、熱い展開を見せてくれる。並行して描かれるふたりの主人公の緊張感ある描写、そしてついに姿を見せた奸絶。これこそがエンターテイメントだ! と思うのです。