かつび圭尚 『問二、永遠の愛を証明せよ。思い出補正はないものとする。』 (MF文庫J)

嘘は吐かない。誤魔化しもしない。彼女の気持ちに、自分の気持ちに、僕は真剣に向き合わなければならないから。それがどれだけ、都合の悪い、汚い感情だとしても。

恋愛を巡るゲーム、「コクハクカルテット」。その結果、世界は書き換えられた。六人の参加者たちの記憶は上書きされたが、しかし、その恋心はリセットされなかった。恋の天使を名乗るクピドは、六人を集めて記憶を賭けた新たなゲーム「リメンバーラリー」を始めようとする。文化祭当日、ゲームの始まりの日がやってきた。

ここには過程がなく結果だけがある。過程のない結果に意味はないと考えて生きてきた。失われた記憶を取り戻す、あるいは奪い合うゲームの中で、そこにどのような意味を見出すことはできるか。ラブコメ風デスゲームに乗せて描くのは、いかにポリシーを貫いて、あるいは妥協して生きるかという。実に面倒くさくて、潔癖で青臭い、生き様の物語。なるほど、読み終わってみると「永遠の愛」を語るにはうってつけの舞台だったのだと思う。広いおすすめはしにくいけど自分には刺さるところが多かった。良かったです。