川岸殴魚 『呪剣の姫のオーバーキル ~とっくにライフは零なのに~ 4』 (ガガガ文庫)

そういうことか。

やはり知るということこそが本当の魔法だ。

いかなる人間も自分を通して世界を認識する。

世界はひとつでありながら、自我というフィルターを通すことで無数の世界が生まれる。

ゆえに知ることは世界を変えること。

シェイの祖父にして六禍のひとつ、メッソル率いる変異魔獣軍が辺境府に襲いかかる。新たなエンチャントを加えられた呪剣〈屍喰らい〉を手に、呪剣士シェイと野戦鍛冶師テアは最後の決戦に挑む。

すべてに決着をつけるシリーズ最終巻。例によってコメディタッチな始まりだと思っていたら、そのタッチを活かしつつ、決戦が無茶苦茶かっこいいのに度肝を抜かれた。敵に襲来される中、決意を胸に心乱れず鍛冶に集中する鍛冶師も、変わり果てた伝説の英雄を相手に、地の利を存分に活かして立ち向かうど根性エルフも、最後の呪剣士ももちろん、すべての要素がかっこいい。今まで作者からは感じ取ることがなかった気合とかっこよさがあったと思う。終わってしまうのはもったいないけど、最終巻としてはこの上ないものだったと思います。お疲れ様でした。