紙城境介 『シャーロック+アカデミー Logic.2 マクベス・ジャック・ジャック』 (MF文庫J)

「殺すんだよ、今ここで」

少年のシンプルな答えに、月読は口を開けたまま二の句を失った。

「〈マクベス〉を、殺す。そのルールを、方針を、思想を完全に完璧に攻略し、役立たずの紙切れにする。そうして、現在過去未来、すべての〈マクベス〉を同時に殺す。それができるのはオリジナルの〈マクベス〉が進行している今この瞬間、この島だけだ……!」

寮の先輩、万条吹尾奈の誘いで不実崎未咲が連れていかれたとある孤島。ある大富豪が手に入れた、犯罪王の計画書〈マクベス〉が、名のある探偵たちを集めてお披露目の推理イベントを開くのだという。その最中、探偵たちの目の前で本当の殺人事件が起こってしまう。

海とホログラムで作られたクローズド・サークルで起こった、名探偵を巻き込んだ殺人事件の真相。犯罪王のもとに集った犯罪劇団の存在。感染症のようにパンデミックを起こし、最悪の場合、世界を滅ぼしかねない犯罪計画書〈マクベス〉の正体とは。癖の強い魅力的なキャラクターに大風呂敷を広げまくり、乗りに乗ったシリーズ第二巻。探偵が社会インフラとして成立している世界において、「探偵とはなんぞ」を語った一巻に対して、「犯罪とはなんぞ」を語った巻になるのかな。小松左京の「虐殺の文法とはなんぞ」という問いかけに、「俺の答えはこれや」とばかりに投げ返した回答は見事だった。探偵小説に必要なものをすべて詰め込んだ、エンターテイメントの教科書のような一冊だったと思う。めちゃくちゃに楽しかったです。



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