宮澤伊織 『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』 (ハヤカワ文庫JA)

「初期不良じゃないのか、この時間? どこの時間だ?」

「宇宙です」

「また宇宙か……宇宙の不具合多いなあ、何回クラッシュしてるんだよ」

「宇宙の住人、時間犯罪者多いですしね」

「よくないなあ、宇宙」

高校生の久遠空々梨の下校途中、巨大隕石が地球に激突して、人類は滅亡した。空々梨が目を覚ますと、そこは隕石直撃の三日前。従姉妹の非数値无香が言うには、空々梨は星間諜報組織〈偵察局〉のエージェントだったのだが、世界線混淆機(ワールドシャッフラー)によって記憶を失い、日本の女子高生になってしまったのだという。

2013年に一迅社文庫から出版されたドタバタ時空SFの新版。もともとは男子高校生が主人公だったのが、世界線混淆機(ワールドシャッフラー)の影響で女子高生になったらしい。古今のSFやスペースオペラ、クトゥルフやらにオマージュを捧げつつドタバタが繰り広げられる。宇宙人の侵略! 改変される宇宙! 妙に辛辣なサポートAI! 妹型生物の襲来! 胃袋にブラックホール! 10年ぶりだけあって、熊が火を発見することしか覚えていなかったのだけど、ほんのりと懐かしさを感じさせるネタもありますね。お気楽に楽しいスラップスティックSFだと思います。



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