カミツキレイニー 『魔女と猟犬5』 (ガガガ文庫)

「相容れるよ。同じ人間でしょ? 人間なら話し合おうよ」

「人間だから話し合えないんだ。一体、何を見てきたのさ」

〈花咲く島国オズ〉。その島では、王家を名乗るエメラルド家と、それに反発する南部戦線による激しい内戦が続いていた。銃器を求めてオズへ上陸したハルカリたちは、南部戦線を指揮する魔女グレンダ・ポピーと接触する。一方、ロロとテレサリサたちもオズ島に住む最凶最悪と名高い“西の魔女”を求めて島に上陸するが、オズ王に謁見した一行は、西の魔女がすでに討伐されたと聞かされる。

オズ島に集結した魔女たちは、その闇に踏み込んでゆく。オズの魔法使いをモチーフにしたシリーズ五巻。“異世界人”の力で成り上がった元農家の王家と暗愚のカカシの王。危険な割礼術で魔術師を創り出す魔法学園。学園で学び実験台にされた子どもたちの10年に渡る罪と罰。内戦。あまりにドロドロしている。ダークファンタジーのお膳立てとしては満点。ここまで描いてきたものへの信頼もあり、ろくでもないことが起こる予感しかしない。ただこれ、ここまでおそらく前後編の前編なのよね。本当に良かったので、できるだけ早く続きをお願いします……