「鬼は執着により沈み、天狗は逃避により浮く。即ち、如何様にでも成れてしまう……それが人というもの――いつか汝を脅かすモノなんだよ、我の子狐」
神去団地。乱立し生まれては崩れる建物に埋め尽くされ、空には赤く輝く偽物の太陽。天狗の末裔たる蝋梅羽一族を中心に閉じ込められた者たちが殺し合う異形たちの園。記憶を失い、ここで目を覚ましたアマナと撫子は、この異形の地から逃げ出せるのか。
人間を挟んで両極端にいる天狗と鬼、そして狐。京都のとある町に生まれた、現世と幽世の狭間を舞台に描かれる、現代怪異/怪奇/伝奇小説。アイデアが惜しむことなく詰め込まれながらも、良い意味で素直な話運びで、するすると流れるに読める。エンターテイメントかくあれかし。
ビジュアル的にもアクション的にも映えるところが多く、なるほどコミカライズしたら楽しくなりそう。現代の怪異・怪奇・伝奇エンターテイメントのスタンダードになり得る傑作だと思う。一巻と比べてもぐっと面白くなっていた。ちょう良かったです。
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