てにをは 『ヤクモとキリヱ』 (MF文庫J)

「侵略的外来呪タニファ。報告にあった通りでした。不忍池の霊的異変の元凶です。河童を捕食して増えていたことは想定外でしたけど」

古来から存在する「在来呪(しゅ)」を喰い荒らす、海外由来の超常的存在「外来呪」に、神態系は乱されつつあった。そんな外来呪に対処する霊能力者集団である神代寮の新人、神坐火花降は、仕事の最中にひとりの男に出会う。

『オマエ……ナンダ?』

「山田厄雲。人間だよ」

――嘘ツキ。

怪人はそう思った。

呪いのために外せない仮面を付け、金も仕事も失うものもないけど不死身の強さを持つ、文字通りの「無敵の人」、山田厄雲。個性的な霊能力者チームの神代寮は、いかにもワケアリなヤクモとともに、侵略的外来呪に立ち向かう。令和の少年ジャンプの雰囲気(有り体に言うと『チェンソーマン』とか)があるアクション怪奇譚。明快ですっきりしたテキストのおかげか、ビジュアルやアクションがすっと想像できる。そういう意味でも少年漫画的と言えるか。「ダンチの怪」はわかりやすかった(舞台が東京郊外の「アークハム団地」)けど、それ以外の話も元ネタがあるんだろか。明快で軽快で楽しいアクション小説でした。