大泉貴 『ランジーン×コード tale.3 禁じられた記憶』 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.3 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.3 (このライトノベルがすごい!文庫)

「信頼でなく事実だ、“赤の女王”。あれは正真正銘の龍だ。人の姿を借りた龍なんだ。じきに思い知る。本当の狂信者というのがなんなのか」
自分が逆さ吊りにされていることも、命が危うくなっていることも忘れて、アーサーはラピスに向けて嘲笑を向けた。
「『言葉』に忠実な化け物の姿を思い知れ」

Amazon CAPTCHA

大量の記憶を保存することのできる詞族〈録号〉の少女,芽衣の持っている情報を引き出すよう依頼を受けたロゴ.彼らのもとに,同じ情報を狙う《華龍會》の刺客が近づきつつあった.
遺言詞という『言葉』と『物語』をめぐるシリーズ第三弾.一巻二巻から巻を追ってどんどん洗練されてきている印象.ロゴやレックス・リーの『物語』はもちろん,端々に挟まれる小ネタの使いかたも上手いしなにより楽しい.あとがきの「異能バトルものとよく言われますが、個人的には SF のつもりで書いています」という言葉は伊達や酔狂から出たものではないなーとひしひし感じたのでした.言語SF と異能ライトノベルのバランス感覚から産まれた,とても幸せな作品ではないかと思ったのですよ.