竹内佑 『前略、殺し屋カフェで働くことになりました。2』 (ガガガ文庫)

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 2 (ガガガ文庫)

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 2 (ガガガ文庫)

そこには、フヤラのつたない文字で『ふだんどおりの会話をするように』と書かれていた。

全員が頷く。フヤラがページをめくる。

『とーちょーき、せっちされている。八つある』

盗聴器。全身に緊張が走ったが、俺以外のみんなは平然とノートを見ている。そんなのとっくに予想済みだったということか。

殺し屋の集まる喫茶店,エピタフ.監禁された迅太がそのまま働くことになって一ヶ月,今では交渉人としての役割を勤めるようになっていた.ある日,エピタフを探偵が訪れ,とある企業のハッキングに関連した殺人事件の実行犯を探し出す依頼を持ち込んでくる.

企業ハッキングと連続殺人事件が,20年前に児童養護施設で起こった事件につながっていく.「好きなものは悪い人たちがたくさん出てくる韓国映画」と著者プロフィールにわざわざ書いているように,殺し屋たちの組織間抗争に針を振り切った話作りになっている.方向性がはっきりした分,一巻に比べてぐっと面白くなっていると思う.盗聴器が仕掛けられた事務所内のやりとりだったり,何をやらかすかわからない,ひねくれたクソガキハッカーだったり,しっかりした緊張感がある.それに並行して描かれる,登場人物たちの過去や,中学生の紙魚子の料理作りも楽しい.それぞれが意味を持ってラストにつながっていくのは感心した.ライトノベル的な良い意味での軽さと,ノワールの面白さが両立している.良いシリーズになったなと思います.



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