鳩見すた 『アリクイのいんぼう 魔女と魔法のモカロールと消しハン』 (メディアワークス文庫)

変わったのは時代じゃない。

少々気づくのが遅かったが、気がつけただけマシだろう。

川沙希は望口。ミナミコアリクイの店主がトレードマークのハンコ店兼喫茶店、有久井印房。ついにミナミコアリクイが店主を務める理由が判明する(?)シリーズ三巻。すべて語り手が異なる四つの短編は、時間も場所も飛び越えて、見事に起承転結を成していた。個々の短編も語りが巧みで、働くお母さんの呪詛と苦悩を描く第一話があまりにもリアリティがありすぎて泣きそうになってしまった。

ハンコという、時代遅れの象徴になりつつあるものが、時間とひとをつないでゆく。それが、単なる人情噺でとどまらない。もっと多くの人に読まれていい、少し不思議な余韻を残しながらも元気の出る作品だと思っております。



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