赤城大空 『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場5』 (ガガガ文庫)

「少年、君は今日からニ週間だけボクのアジトで一緒に過ごすんだ。正式な返事はそのあと聞かせてもらおう。ともに過ごす二週間で君の身体だけじゃなく……心も盗んでみせるから」

「二日後。満月が最も高く昇る晩に“アルメリアの至宝”をいただきに参上する」。勇者エリシアの誘拐をほのめかす予告状が、バスクルビアの街中にばらまかれた。予告の晩、クロスたちも警護の任務につく。現れた大怪盗セレスの目的は勇者ではなく――まさかのクロスだった。

主人公、泥棒猫もとい大怪盗に攫われるの巻。師匠たちがスキルを伝授するにあたって優先してきたことだとか、クロスくんの現在のスキル構成のおさらいだとか、新たなスキルの理由付けといった、幕間というか、補間と掘り下げの巻だったように思う。ダンスシーンの出てくる小説が好きというのもあるけど、社交ダンス(怪盗曰く「性交のリハーサルみたい」)を通じてスキルを伝授するシーンは良かった。思わせぶりな「とある小国の危機」があっさりし過ぎでは? とは思った。