屋久ユウキ 『弱キャラ友崎くん Lv.11』 (ガガガ文庫)

「もしかしたら……正しく生きることなんて、なんの意味もなかったのかなぁ」

世界を呪うような言葉は、濡れた肉の塊がびたんと床に張り付くように、醜く落ちた。

大阪旅行は思いがけない形で終わった。その後、日南とほとんど話すことができないまま、友崎たちは三年生に進学した。特進クラスと普通クラスに別れ、ますます日南と接触の機会が減ってしまった友崎は、思い切って日南の家を訪ねる。そこで友崎は日南の妹に会う。

「小説を書くっていうことは――

本当に人の気持ちよりも、優先するべきことですか?」

日南の仮面の裏側にあったもの、それを他人が「物語」として書こうとすること。人生から「理由」と「言葉」を取り除いたら、残ったのは「空っぽ」だけだった。じゃあ生きていくための「理由」と「言葉」はどこから生まれるのか。前巻の、ひいてはシリーズそのものを通して積み上げてきたものを完全に裏返してくれた11巻。読み終わった瞬間、うまく言葉が出なくてうわーっとなった。素晴らしい。ラストも近くなり、魔王日南の核心に迫りつつあると思われる。本当、楽しみです。



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