夜方宵 『探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。2』 (MF文庫J)

「だってこの横臥島は普通の島じゃないもの。本土から遠く離れた離島につけられた鬼ヶ島の異名、そして島に伝わるオウガ島という名の鬼にまつわる伝承。まるで江戸川乱歩や横溝正史を思わせるおどろおどろしさじゃないか。そこに私という本格的名探偵が――私たち『本格の研究』(スタディ・イン・パズラー)の六人が足を踏み入れたんだ。舞台に探偵と助手(役者たち)が揃った今、なにも起きない方が却って奇妙というものだよ」

ゴールデンウィーク。『本格の研究』(スタディ・イン・パズラー)の面々は、万桜花家の別荘がある小島、横臥島を訪れた。別名鬼ヶ島と呼ばれ、人喰い鬼オウガ様の伝承が残る横臥島。業落としと呼ばれる年に一度の祭りの夜、まるでオウガ様の像に撲殺されたかのような殺人事件が起こる。

島に伝わる人喰い鬼の伝説、鬼を鎮める祭りの最中にお約束のように起こった殺人事件、その後の後始末。そして目隠し幼女を中心に、わずかに明かされるこの世界の真理。本格的名探偵こと推川理耶の性格と、推理が現実になるという能力を逆手に取ったクライマックスは鮮やかで好き。ひとつめの事件がテンポよく解決したぶん、その後がだらだらと長く感じられるのは否定できないのだけど、ラストまで読んだら評価が良い方にひっくり返りました。