傑作.久しぶりに痺れた.たぶん,SF 的手法(=タイムトラベル)を現代的なかたちで,もっとも理想的に噛み砕いて生かした SF 小説であり,青春小説であると思う.
1巻では「切なくて,何かが起こりそうで,落ち着かない」と感想を書いた.2巻も相変わらず冷笑的で,なんとも言えない不安定な空気が作品全体に漂っている.でもそれでいて文章はどこかしら情緒的で.漠然とした不安を感じることは変わらないものの,それは青春小説に付き物の,いわゆる「成長することへの不安」みたいなものなんだろうと思う.1巻とは違った種類の不安.こういった不安定さや切なさが,表現がおかしいかもしれないけど,私にはとても心地よかった.
- 作者: 新城カズマ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (278件) を見る