不破悠 『助けて秋吉君! ─関野帆乃佳の場合─』 (HJ文庫)

助けて秋吉君! 関野帆乃佳の場合 (HJ文庫)

助けて秋吉君! 関野帆乃佳の場合 (HJ文庫)

「未来からやってきた彼女の幽霊」というワンアイデアが出せた時点で勝ちでしょう.正直練りこみ不足は感じましたが.幽霊と人間,二人の彼女が同時に存在することのジレンマをもっとじっくり描いてくれていればそれだけで傑作になったかもしれないのに,惜しい.グレンダムに半端な設定を用意するくらいなら人間を描くことに労力を割けよ!
ほかにも文章が高校文芸部員レベルだとか(さすが「現役女子高生作家」!),大小いろいろ言いたいこともあるし,欠点は現時点ではむっちゃ多いとは思う.けど,私はけっこう楽しめた(グレンダム以外は).新人なんだから高め安定よりはどこか一箇所だけでも突出した何かを持っていたほうが将来楽しみじゃない?