分水嶺 『フラ×ソロ 〜健全な男女交際についてのあれこれ〜』 （講談社BOX）

フラ×ソロ~健全な男女交際についてのあれこれ~ (講談社BOX)

「君の言う通り、そんな平凡で愛すべき日常は現代の男の子的には望むところなのかも知れない。だけど男の子って奴は誰だって『主人公』。一人一人が『物語』の『ヒーロー』なんだよ。『主人公』がいつまで経っても『物語』を始めずに、日常に閉じこもっている訳にもいかないだろ？」
「ほほう。『物語』の『ヒーロー』とは大きく出たものじゃ。貴様がこの聖黎学園の主人公で、この閉じた学園を変える『ヒーロー』じゃと？」
「いやいや、僕みたいに顔も頭も良くて性格の悪い男の子が『ヒーロー』で『主人公』なわけがないだろ。僕みたいなキャラクターはせいぜい主人公の隣で思わせぶりなヒントを出したり、嫌味を言ったりするぐらいのもんだよ」
「では──この『物語』の『主人公』は、この学園の『ヒーロー』はどこにいるのじゃ？」

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聖黎学園には三百年の伝統を誇るふたつの秘密結社が存在した．片方は男子クラブ「フラタニティ」，もう一方は女子クラブ「ソロリティ」．学園の生徒たちは合わせて『フラ×ソロ』と呼んでいた．しかし弱体化したフラタニティは，生徒会長の公約により解散寸前に追い込まれる．
フラタニティの隠れメンバー，〈シェイクスピア遣い〉こと七夜哉夜は新しい学園秩序をつくるべく暗躍，もとい攻略を開始する．第 3 回 BOX-AiR新人賞受賞の連作短篇．生徒会幹部の女の子たちを，だいたい短篇一篇につきひとりのペースで落としていく．ストーリーは普通の学園もの，だと思うのだけど，短篇同士のつながりがどうも弱い．ハルヒで言うところの古泉役にいる主人公も，行動原理がよく分かんなかったり，いまいち行動の詰めが甘かったり．というか，あるシーンで外国人留学生が言うセリフで，そこまで積み上げてきたストーリーが台無しになっている気がする……．正直ストレスがたまった．