クワガタにチョップしたらタイムスリップした[特装版] (講談社BOX)
- 作者: タカハシヨウ,家の裏でマンボウが死んでるP,竜宮ツカサ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/01/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「だから怖がらないで。この先起こること、何も知らずに帰りなさい」
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いつか今日のことも全部、
「私はあなたから何も奪いたくないの」
良い思い出だって言えるようになりますか?
「あなたには不幸になる権利がある」
そんなこと言う割には随分、
「大丈夫。私はちゃんと、幸せだから」
幸せそうに笑うよね。
ドジで歯並びが悪いことがコンプレックスの淡路なつみは,夏休み前最後の日にこれまでにないような大ドジを繰り返してしまう.なんとか過去に戻ってやり直すことは出来ないものか.ペットのヘリウム(ヒラタクワガタ)に甘チョップをしながら悩んでいたところ,なつみは2016年7月21日の50年後,2066年にタイムスリップしていた.
著:タカハシヨウ,絵:竜宮ツカサの二人組による,自作の同名ボーカロイド楽曲小説化.ボカロ小説ははじめてだったのでどんなものかと思っていたのだけど,期待以上に面白かった.長さがネギくらいあるサツマイモに食いつく犬型ロボットだの,寝て起きたら額からビワの木が生えていた男だのの脈絡ないイメージに,「ヌペラヒャッホウをヌペラヒャッホイしないといけない」という言語センスがポンポン出てくるこの感じ.最近どこかで読んだような気が……と考えたところ,『やし酒飲み』(感想)に思い至る.これはもう現代のマジックリアリズム小説と言ってもいいのかもしれんね(自信なし).
というのは半分冗談としても,優しくて希望に満ちた少年少女向けタイムスリップSFとして,すごく良いと思う.昨日『願い星、叶い星』(感想)を読んだばかりだから余計にそう思ったのかもしれないが,物言わぬヘリウム(ヒラタクワガタ)でさえ可愛く見えてくるもんな.騙されたと思って読んでみるといい.