法条遥 『リビジョン』 (ハヤカワ文庫JA)

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

仮にである。
本当に、未来が視える手鏡があったとして、
そして、未来は永遠だったとして、
一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇年後も、未来は続いていたとして、
未来が視える手鏡に、
一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇年後を視せて、
と、願ったら、どうなるのだろうか?
こうなるのである。

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千秋霞は,家の女性に代々伝わる手鏡を使い,未来を視ることができる.1992年秋.熱を出した一人息子のヤスヒコが一週間後に死んでしまうビジョンを視てしまった千秋は,未来の改竄を図ろうとする.
息子の命を救うため,手段を選ばない母親の狂気と,それを阻む時間のルールと過去と未来.そして発生する「リビジョン」.「ひどい時かけ」こと『リライト』(感想)の続編.時間SFというか時間ミステリというか.なんとなく思い出したのは藤子・F・不二雄,の特に「自分会議」.過去・現在・未来が交錯し,円環構造を描く時間とそこから派生する因果関係がかなりややこしい.再読すればなんとかなるレベルではあるが,図表がないと入ってこない自分の頭の悪さがいかんともしがたい.200ページくらいだしさくっと読めるかな,みたいな軽い気持ちで読んでたら,ある時点から完全にこんがらがってしまった.リビジョンの結果として起こる神話的事象にはひっくり返った.読んでみて損はない.はず.