- 作者: 瀬名秀明
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/02/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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遠藤は岬を求めてきた。切っ先を求めてここまでやってきた。人類は、社会は、いや、もっというなら文明は、いつの時代もそうして未知なる東へと漕ぎ出してゆく。宇宙に触れるために。宇宙を抱くために。だが宇宙もこちらへ向けて漕ぎ続けているのだとしたら?
新生
宇宙もはるか昔から、おれたちを求め続けているのだとしたら?
おれたちだけでなく、宇宙もまた準備しているのだとしたら?
宇宙もおれたちと同じように、この切っ先へと進み続けてきたのだとしたら?
「新生」,「Wonderful World」,「ミシェル」の三篇を収録した連作中短篇集.「あの震災」から45年後,天空に突如現れた超構造体.人口実存.無存.変わってゆく人々の倫理.核戦争.一般自然言語理論.自殺.音楽.無.愛.恐ろしいほどのアイデアの密度と,言葉の凄みにただただ圧倒される.しかし,「希望」(感想)までは辛うじてついていけた(気がする)のだけど,これは果たして言わんとするところを一部でも読み取れたのか,正直まったく自信がない.一度読んだだけで理解せいと言う方が無理なのか,オマージュを捧げられている小松左京とダンテへ私が無理解なのが悪いのか.文面から立ち上る熱量は間違いなく本物なので,姿勢を正して頭が落ち着いてからまた読まないといかんな,と思った次第です.