うーぱー 『タタの魔法使い』 (電撃文庫)

タタの魔法使い (電撃文庫)

タタの魔法使い (電撃文庫)

二〇一五年七月二十二日。

夏休みを目前に控えた公立高校の校舎が、生徒と教職員ごと消えてしまうという不可解な事件が起きた。敷地内には、校舎の有った位置に深い穴が残るだけ。

失踪者494名,うち犠牲者は200名超.のちにハメルンの笛吹事件と呼ばれるようになった事件は,30日後に校舎が元の位置に現れたことで何の前触れもなく解決した.教職員を含むすべての生存者は,地球とは異なる世界を旅して戻ってきたのだという.彼らの身に,いったい何があったのか.

地球とは一日の長さも重力も異なり,言葉も通じない異世界.学校まるごと転移してしまったその先で何が起こり,どのように生き延びてきたか.インタビューを交えたルポルタージュ風に語っていく第24回電撃小説大賞大賞受賞作.異世界漂流教室かな,と思いながら読み進めたらマジで最後まで異世界漂流教室だった.高度な教育と良好な栄養状態で育った現代の高校生が,異世界においてどういうことができるのか.ところどころ鼻につくところはあるけど,なんだかんだと目の付け所がいいと思うし,とんちが効いている.なかなか異色の異世界ものだと思う.楽しゅうございました.