浅倉秋成 『六人の嘘つきな大学生』 (角川書店)

六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本)

六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本)

たぶんだけど、この世で最も就活生が詐欺に遭いやすいと思うよ。本当の混乱期だから。あ、あれだ、詐欺っていうのも、懐かしいね。はは。やめようか、この話は。

2011年。成長著しい新興IT企業「スピラリンクス」が初めて行った新卒採用に六人の大学生が残った。最終選考は一ヶ月後のグループディスカッション。内容によっては六人全員に内定を出すという人事部長の言葉を聞き、一致団結して絆を深めてゆく六人。ところが、本番直前にグループディスカッションの課題が変更になると通達される。仲間になったはずの六人の大学生は、たった一つの座を争う敵になった。

2019年。2時間30分のディスカッションで起こった「事件」のすべての真相と、その後の8年間にあったことが明かされてゆく。新卒での就活という、人生で最大の混乱期を迎えた大学生たちに起こった密室事件。むちゃくちゃ面白かった。さすが「伏線の狙撃手」と呼ばれている(いつから?)だけあって、あらゆるテキストが繋がっていく。それぞれに表の顔と裏の顔を持つ、一流大学の大学生たち。全員がとんでもないクズでもあり、ただし、それだけではない。デビュー作から読んできたけど、キャラクター造型の面白さは一歩ずば抜けている。最高でした。