周藤蓮 『明日の罪人と無人島の教室2』 (電撃文庫)

結局、疑問はそこに帰結する。

「湯治、お前はどうして未来で人を殺す?」

そして、僕はそれに答える言葉を持たない。

現実規程関数から導き出された「明日の罪人」たちを集めた鉄窓島プロジェクト。その開始から一ヶ月。「必ず未来で罪を犯す」という命題の矛盾に気付いた湯治夕日は、全員での脱出に向けて行動を起こす。

SFミステリの色がさらに強くなった第二巻。学校を模したプロジェクト。その裏にある意図、「特別授業」、そしてそれぞれの生徒たちはどのように行動するのか。少しだけ技術が発達した未来が舞台で、この世界のテクノロジーには何ができ、人間に、社会に、どのような影響を及ぼすか。孤島が舞台のはずなのに、あまりに語られるものが多くて何から言えばいいのか。

「そうなる」に至る行動や理屈、その裏にある意思を事細かに拾っていく手つきがとてもよい。多少(?)の反則技があった気がしないでもないけど、そこも含めてこの物語なのであろう。こういうのも信頼できない語り手、と言っていいのかな。作者も信頼できないというか、まだまだ伏せられたカードは多そう。何がどうなって、どこに着地するのか。引き続き追っていきます。

この島にきて、みんなは自分の異常性を知ったのだという。

自分がどうして未来で罪を犯すかを知るのは、自らの理解を深め、自らの異常性を知り、その克服へと乗り出していくことなのだという。

でも、私は逆だった。

この島にきてからというもの、私は自分が普通だと思い知らされてばかりだ。



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