ひたき 『ミミクリー・ガールズII』 (電撃文庫)

「あん? チルドレンってのはカルテルが各国をコントロールするために置いたんじゃねぇのか? カルテルの利益が優先だろ。まさか自分の国に入れ込んじまったのか?」

「私はッ! 極東連邦を導くために育てられたのっ!!」

「……ガキが政治なんて気持ちわりぃんだよ」

2041年。第三次世界大戦後、初の冬季五輪を翌年に控えていた日本で、アメリカ、日本、ロシアから分裂した極東連邦の三カ国会談が開催された。目的は、国際犯罪組織“バル・ベルデ”のテロから札幌五輪を守ること。米国の特殊部隊「ミミクリー・ガールズ」は会談の行われた京都から北へ向かう。

舞台は第三次世界大戦後の日本。大和を超える500mm砲を携えた巨大戦車に国際犯罪組織に戦争屋(ウォー・メイカー)が北海道に上陸する。少女型人工素体に身を包んだ特殊部隊の活躍を描く第二巻。一巻と同様、古今東西の映画やミリタリからいいとこ取りをして、現代SF的アイデアをまぶしたボンクラ極まるアクションエンターテイメント。

少女型人工素体が、物語の読みやすさとストレスの無さに良い方向に効いているのだと思う。少女型人工素体とデザイナーズチルドレンという、傍から見れば似たような存在に、はっきりとした立場の違いや、大人と子供の違いを与えているのも、話の都合もあれどそれぞれの存在感を高めていて良かった。大人の都合、子供の立場。国家の思惑、企業の利益といった構図を、肩のこらない語りに乗せて見せてくれた。「あまり難しいことは考えず、ただトンパチを楽しんで頂く」という目標は十二分に達成されているし、それにとどまらない。アクション映画を観るように、気軽に読んでみてほしいと思える作品でした。



kanadai.hatenablog.jp