森橋ビンゴ 『この恋と、その未来。 ―二年目 秋冬―』 (ファミ通文庫)

「真面目にやっても、傷付くもんは傷付くんだよ。だから、そんなこと考えたってしょうがねェの」
と、当たり前のように答えた。
「大事なのは、傷付けることを忘れないことだな。特に色恋は、絶対に傷付くんだよ。毎日毎日、可愛いね、愛してる、とか言ったところで、傷付く奴は傷付くの。逆に、冷たくしようが馬鹿だ何だと罵ろうが、傷付かないヤツは傷付かないし。だから傷付けようが傷付こうが、思い悩まない鋼の心を持つことだ。そうじゃねェと恋愛なんて楽しめねェだろ」

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三好を傷つけ,未来の信用も失った四郎は,父に呼ばれて行った京都で,三並と西園が結婚することを知らされる.受験も近づく不安定な時期の別れを描いた,シリーズ五巻.今回での打ち切りをあとがきで告げたことで,少し前に話題になったよね.結論から言うと,この時点では予想できたバッドエンドそのもの.性同一性障害を持つ相手への恋という,非常に難しいテーマに,真摯に向き合っていただけに,四郎の出した結論を知ることができないのは悲しい.遊び人である父親の恋愛観のヒントがあると思うのだけど,結局浮いたまま.仕方ないとはいえ,後味が悪いし据わりが悪すぎる.書かれるはずだった六巻がどこかで読めるようになる日を気長にお待ちしております.